“プレイボーイ”と謳われる俺、三村信史にも、
純粋に好き、と思える女の子はいる訳でして。



彼女のボディーガード




廊下で彼女を見かけた。

千草貴子。

この学年で、相馬光子に並ぶ美人だ。


俺、ああいうのタイプなんだよなぁ…。


誰かを、待っているような感じだった。
俺は自然に話しかけてみる。

「千草サン?ひょっとして杉村待ち?」

「あ、うん。そうだけど。何か用?」
「いや、用って訳じゃないけどさ」

ふと、思った事を聞いてみた。


「千草って、杉村と付き合ってんだっけ?」


聞くと、千草の、その整った顔が少しだけ引きつった。

「彼方までそんな事を言うのね。分かりきっている事聞かないで。付き合ってなんかいないわ」


そう、分かりきっていた。
それでも、聞いてみたのだった。


「じゃあ、俺と付き合わない?」


極上スマイル(これで何人もの女の子を落としてるんだぜ?)付きで軽く言ってのける。

「は?嫌よ」

「そんな、つれないなぁ」

と言って俺は、ちょっと調子に乗って、彼女に詰め寄ってみる。
「俺、結構イイ男だと思うんだけど?」

「離れなさい」
「イヤ」


ふと、後ろから、殺気のようなものを感じた。


「信史、てめぇ貴子から離れろ!」

「え?」

俺が振り向くのと同時に、腹部に激痛が走った。
そしてそのまま俺は床に向かって思いっきり倒れる。
倒れざまに見えたのは、
すたっと着地しスカートのしわを直す俺の幼馴染みの姿。

跳び蹴り。

そう、あいつは俺に跳び蹴りしたのだ。

「貴子に何かしたらあたしが許さないからね」



そこで俺の意識は一旦途切れた。

情けないぞサード・マン。

いや、だってホントに痛いんですよコレ?




気を失っていたのは何分ぐらいだろうか?

目を開け、上体を起こすと、
そこには少し心配そうな顔をした(その表情も素敵だぜベイベ)千草と、
俺を蹴り飛ばした張本人、が居た。

「あー、大丈夫信史?まさか気ぃ失うとは思ってなかったから」

俺だって、意識が飛ぶなんて思ってもみねぇよ。

「俺何分ぐらい倒れてた?」
「軽く1,2分って所よ」

「そっか…。
てか!お前何でいきなり人の腹に跳び蹴りかましてんだよ!」

本題を思い出し、怒鳴りつける。

「信史が貴子にちょっかい出すからいけないんだよ」

「お前に関係ないだろ? あ、さてはヤキモチですかぁ?
いやぁ信史くんモテすぎちゃって困っちゃう〜」

「調子のんなよ?」
「調子乗らないで?」
冷ややかな視線とともに軽くあしらわれる。

「貴子はあたしの大事な友達。変なムシから守るのはあたしの役目」

「変なムシって、俺?」
「アンタ以外に誰が居る?」

はあ、何で俺こんな目に遭わなきゃいけないんだよ…。
好きなオンナに告って、それの何処がいけないんだい?


と。


丁度廊下の角から、長身の男の姿が見えた。

杉村だ。

ナイスタイミング…!
助かった。

「おい杉村!この状況を何とかしてくれ」
「三村、お前どんな状況だよ?」

廊下に腰を下ろし、女子二人に囲まれている俺を見て、
少し笑いを含んだ声で杉村が言う。

「信史が貴子口説こうとしてたんだよ、杉村」

が俺の代わりに説明する。
嫌だなぁ。
“口説く”だなんてそんな。

「貴子、そうなのか?」

「えぇ、そうよ?」

「ふうん」

そして杉村は俺を見下ろした。


「おい、三村。もう俺の幼馴染みに、手、出すなよ?」


そう言った杉村の圧力に少したじろぐ。

「お、おう…」

だったら、杉村、お前が付き合えばいいだろ〜〜!
何なんだよ全く。




俺の好みの女、千草貴子。

彼女には強ーいボディガードが二人もいます。


よって、


俺はしばらく彼女に近づく事が出来ません。





...END ..........





あとがき。


えーと、三貴を書いたつもりが
いつの間にか夢小説になったという代物です。

三村とヒロインは幼馴染みです。
杉村と貴子も幼馴染みです。
三村と杉村が仲が良いので、ヒロインと貴子も必然的に仲良しこよしなんです。
(上記は長井秀和風に読むべし!/うるさい)

いつかちゃんと三貴書きたいです。

あと、これ、元ネタは日記で書きました。
読んだ人もいるはず。
日記で書くって楽でイイですね!!新発見!

では、ここまでお読み下さり有り難うございました。


05/4/4 21:39  リョウコ