もし世界が明日で終わるならどうする?
なんて、下らないことを君が聞くから。
世界が明日で終わるなら
放課後、掃除当番で残っていた俺たち。
ムカツク先生のこととか、今日の授業とか、そんな会話をしていた。
なのに突然、お前が聞いたんだ。
「ねえ信史。信史は明日世界が終わっちゃうとしたらどうするよ?」
突然、そんなことを聞かれたって戸惑うだろ?普通。
「ちょっと待って、考えるから」
「うん、待つ」
しばらく考えた末に出た結論。
「じゃあ、俺は、やれるだけヤるって事で」
「世界が終わる前に死んどけお前」
「冗談だって、な?」
「ま、そんなことだろうとは思ってたけど…」
「じゃあ、なんて答えれば良かったんだよ俺」
「『死ぬときはお前と一緒だぜベイベ』」
がぼそりと言った言葉を、俺は聞き逃さなかった。
「はぁ!?」
俺は一瞬持っていたホウキを取り落としそうになった。
だって、あのがこんな事言ったんだ。
驚くに決まってる。
「嘘だよバーカ、あたしがそんな乙女なコト期待すると思ってんの?」
「いえ、全然、全く、これっぽっちも、そんなこと思ってないです」
「雑巾アンタの顔に投げて良い?」
「って、もう投げてんじゃん!」
俺は、顔目掛けて飛んで来た雑巾をキャッチすると、そのままにパスする。
「今の、ホントに嘘?」
「当たり前じゃん」
「でも、俺、そう思うよ?」
「え、何が?どう思う?」
「と一緒にいたいなぁって」
真剣な目での方を見つめてみたり。
「なっ!?」
少し頬が染まる。
「もちろん豊や杉村とも一緒にな!あれ、やだなぁ期待しちゃった?」
「!!」
「顔赤いんだけど大丈夫ー?」
「ち、違う!信史の目がおかしいんじゃないの?」
だいたい、恥ずかしがる必要もないのに。
だって今だって俺と二人きりなのにさ。
世界が終わるって言ったって、この状態は変わらないだろ?
「つーか、信史はさっき、やれるだけヤるって言ったじゃん。一緒にいたいとか言って、考え変わってんじゃんよ」
「え、変わってないよ?」
「変わってるよ」
「と一緒にいてやれるだけヤれば良いことっ」
“がいんっ”
痛い…。
えっと何、今、声裏返ったよね俺。
ホウキで、足殴られたんですけど。
弁慶の泣き所なんですけど。
泣いても良いですか?
痛いです。
「って…。ホントなのに〜」
涙もちょちょぎれそうになりながら俺は言った。
つーか痛いですマジで。
「馬鹿か!?ほら、掃除も終わったし帰るよ!」
そう言っては掃除用具をしまうと(あ、俺のもしまってくれた。ありがと)スクールバッグを持って教室を出て行く。
俺も自分の荷物を持つと、ひょこひょことの後を追った。
しつこいようだけど、足痛いんだって。
もし世界が明日で終わるならどうする?
なんて、下らないことを君が聞くから。
ホントのことを答えたのに、君は信じてくれないね。
一緒にいたいのに。
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END...............
05/4/16