今日、が突然熱を出し、学校を早退した。
三村信史が一緒について行ったみたいだけど…。
大丈夫かしら、あんな男で。

『おい三村、お前まで帰って良いのかよ?』
『良いの良いの七原クン。俺は熱を出したお姫様を護ってやらないといけないので。
と言うワケでセンセ、俺も早退しまーす!』

あたしは放課後、弘樹と一緒に彼女の家へお見舞いに向かうつもりだ。
の身が安全だろうか確かめたかったので。










風邪っぴきにご用心










「それにしても、が風邪ひくなんて。珍しいわね」
「そうだな、あのがな」
「いつも思うんだけど。って、三村と二人きりで帰るなんて危ないわよね」
「ああ、いくらだって、女の子だもんな」
あたし達はそんな事を話ながらの家に向かう。

3-Bの女子の中でも風邪をひく回数などまず一番に少ないであろう彼女だ。
今回熱を出した事はクラスの誰の心にも残るだろう。

「っと。ここね、の家は」
「あぁ」

あたしは呼び鈴を鳴らした。
と同時にドアが開いたので、あたしも弘樹も少し驚き後ずさった。
出て来たのはのお母さんだった。

「あ、あら、もしかしてのお見舞いに?」
「は、はい。こんにちは。クラスメイトの千草貴子です」
「杉村です」

「ごめんなさいね、ちょっと、買い物に出掛けようと思って。信史くんが留守番してくれるって言ってたから」
見ると、空いた状態のドアから、三村信史のものと思われる靴があった。
どうやら、を送り届けた後も、この家にいたらしい。

「そうですか、じゃあ、あたし達もお邪魔して良いですか?」
「良いわよ、ありがとうね。をよろしくお願いしますね。あ、2階の一番奥の部屋よ」
「はい、ありがとうございます」
「お邪魔します」

と言う事であたし達はの家に上がり込んだ。
彼女の部屋へ行く為階段を上がる。

「あ、ここだよね」
「だろ。二人の声聞こえるし」


「はぁ…信史…や…」

え・・・?

「だめだ。お前だって早くよくなりたいだろ?」


な、なな、何やってるの二人で?!

「ちょ、弘樹、待って、開けるな」
心なしか声を潜める。

「何で?」
「聞こえなかったの?!」
「何が?」
「何でも、とりあえず、開けないで!」
扉越しにそんな声聞いたら入れる方がおかしい。


「あ…やだって…言ってるのに…」
「だーめ、そんなワガママ言っちゃあ」
「だって…そん・な…大きいの…ムリ…」
「大丈夫だから。俺、それ上手いよ?」
「信史…上手くたって…は…ぁ…」


「あ、あいつら…」
「やっと分かった、弘樹?って顔赤いわよ」
「お前の方が全然赤いよ…」
「どうしよ…」
「帰る?」
「でもなぁ…」
それでも聞いていたい衝動に駆られて、廊下に座り込む。そして耳を澄ます。


「ちゃんと俺の言う事聞けよ」
「やなもんは、やだ…はぁ…ぜったい…いや」
「とにかく、口に入れろよ」
「はっ…こんなもの…入れてたまるか…!」
「でも、そしたらいつまで経っても寝たままだぞ?」


「く、口だぁ…?!」
「し。静かにしろよ。聞こえたらまずいだろ」
「それもそうね」
それにしたって、三村ったらに何させてんのよ…!
今度アイスピックで半殺しにしてやる。


「うぅ…それもいやだ…けほっ…はぁ」
「それにほら、お前、ここすごい熱い」
「う、るさい…ばかっ、さわんな」
「だから、早くよくなりたいなら」
「わかっ…たよ…」


ああ、神様…どうか!
それより、弘樹は大丈夫かしら。こんな…。
さっきより数段顔赤くなってるし…。耳塞いでる。


「あぁ…やだ…うっ」
「…オーケイ?」
「うぅー…」
「はい、じゃ、飲んでね」
「…うっ…ムリ…」
「無理じゃない、ここまでやって何?」
「…ん」

こくん。

「はい、よく出来ました」
「はぁ…はぁ…こんなの、よくなる前にあたしが死んだらどうするんだよ!!」
「こんなんじゃ死なねぇぜ、ベイベ?」



もう、駄目だ、が可哀想すぎる!!
あたしは意を決して扉を開けた。


三村!!あんた一体に何して…って、あれ?」



水の入ったコップを手にベッドに横たわると、制服のままその横の椅子に座る信史の姿があった。

「あ、貴子、何、見舞いに来てくれたのもしかして?」

だって、あれ?どうして二人普通のままなの?
とりあえず、に何か答えなきゃ。

「え、ああ、そうよ。弘樹と二人で来たの」

「杉村も来たんだ。おい、入ってこいよ」
「あ、じゃあ、入るぞ…」
「どうしたんだよそんなに顔赤くして?もしや、千草と二人きりで何かあったか?」

「何かって、何よ!」
「違う…」
「じゃあ何だよ?お前も熱か?」

「廊下で二人の声が聞こえて、三村がを…むぐぐ」
「い、言わなくて良い!」

あたしは急いで弘樹を抑えた。
背が高すぎてそれはそれは大変だった。

「お前ら一体何してんだよ…? あ、それで俺が何だって?」

「い、いや、ね。あたし達、てっきり、その、が三村に…」
「あたしが信史に?」
襲われてるかと

「「はあああ?!」」
二人とも目を見開いてこちらを見返した。

「な、何それ!どの声が聞こえたらそうなるの?」
「あ、もしかしてあれか?お前の“大きいの無理”宣言だろ。そうだろ?」
「いや、あんたの“ここ熱い”宣言だろ。おでこ触ったときの」

「他多数だ…」
「ほかは何だろな?」
「か、考えないで三村!恥ずかしいから!」

「それにしても、、三村、何してたんだ?」
「そ、そうよ、どうしたらあんな会話になるのよ!」

「何って」
「薬…カプセルの、飲んでた」
、昔っから駄目なんだよ。な?」
「う、うるさいな」

「「そうだったのかぁ」」
あたし達二人ともその場にへたりこむ。

「馬鹿だなー、おまえら二人とも。思考がエロ過ぎるぜ?」

「馬鹿はあんたよ変態三村!日頃のあんたの行いが悪いから疑うの!」
「そうだ、が危ないかと」

「にしたって、俺がを襲うとか、考えるか普通?」
「いや、実はあたしも内心怖かった」
「は、何言って。俺が熱出した女の子襲うなんて奴に思えるか?」

「「「バリバリ思ってる。現在進行形で」」」

「そんな、みんなして俺を疑ってさ、信史くん拗ねちゃう〜」

「キモいっ!蹴り飛ばしてやる!!」
「だ、だめ、暴れちゃ!熱あるんでしょ?!」
「そ、それもそうだね…あぁだるい」

「三村、お前、そういう事しばらく控えたらどうだ?様になりすぎて千草に殺されるぞ」
「そういう事って、なあに?」
「とぼけるな」
「あぁ、怖い怖い。でも俺、千草サンに殺されるなら本望ですう〜」

「キモいっ!目ぇ潰すぞコラ!!」
「貴子、だめ、抑えて!」

今回は、ただの、勘違いで良かったけど。

これからは本気でこの男からを護ってやらないといけないと思った。




   *終われ。頼むから終わってくれ。*




お下品ですみません…。
書いてる側としても、ものっそい、恥ずかしいんですから。
穴があったら埋めたい、三村を。

恥ずかしくて死にそう…_|\○_

05/08/21 22:34