よく漫画なんかでは、幼馴染みって言うと
なにかと恋人同士になったりするけど、
実際はそんな事無いと思うんだ。
幼馴染みなんて
「もしも〜し、サーン?起きて下さいよ〜。」
「あぁもう、うっさいなぁ。」
さっきから五月蝿い五月蝿い。
人が寝てんのに邪魔すんなっての。
「授業中なの。寝ちゃだめでしょ〜チャン。」
なんつーしゃべり方をしているんだ。
三村信史さんよー?
「分かった分かった。起きるから。
そのしゃべり方をやめてくれ。」
「あ、やっと起きたか、。」
「こら、授業中に寝るんじゃないぞ。」
「はぁいはい。」
今のは、センセーだ。
えぇっと、まあ何だ、そうだ。
あたしが授業中寝てたんですが、
それを信史が起こしたって訳ですよ。
「さぁ。何でいっつも寝てるんだよ?」
「だって数学ってめんどいんだもん。」
「はぁ?簡単じゃんこんなの。」
「へーへーさいですか。こんなのチョー天才な三村君には
簡単なんですねぇ。あーすごいすごい。」
「むかつく言い方しやがるな、お前。」
信史は小学校よりも前からの付き合いだ。
いわゆる腐れ縁ってやつですか。
「こらそこ!しゃべってんじゃない!」
「「すんません。」」
チクショウまた怒られたじゃんか。
屋上にて、昼食。
「なあ、三村。お前サンの事好き?」
「はっ、まさかそんな訳あるかよ。」
屋上にいるのは、あたし、信史、豊、七原、それと典子ちゃん。
今、信史に下らない質問したのは七原。
「ほんとに?シンジはの事好きなんじゃないの?」
「ちげーっての豊。」
「そうそう、コイツにそんな感情あったらさぁ
今頃あたし妊娠しちゃってるっての〜!」
「おいおい、俺がそんなやつだと思ってんのか?」
「「「うん。」」」
と、あたし、豊、七原。
「う……それに話を下品な方向にもってってんじゃねーよ。
嫌がるだろ、女の子の典子サンもいるんだから。なあ典子サン?」
「え、あぁ、えっと…。」
いきなり話題を振られ、典子ちゃんは少しとまどってた。
「あたしも女だ。このボケが」
あたしは、信史につっこむ。
「そうよ、も女の子よ?三村くん」
「はいはい、分かりましたよ。って事はぁ
もし、俺がお前を好きだったら、妊娠させても良いってワケだな?」
「は?お前一回死んどけよ。」
そんなこんなで、あたしらの一日は過ぎていく。
今日はあたしも信史も部活は休み。
ちなみにあたし、美術部に入ってる。
一緒に帰ろうと信史を探すが、
何処にも奴の姿が見あたらない。
しょうがないのであたしは、そこら辺にいた七原に聞いてみた。
「七原、信史知らない?」
「あ、三村?
三村ならさっき体育館裏に行くって言ってたけど…」
「ありがと、行ってくるね。」
「サン待って!ほら、やっぱりソレって――」
その時の七原の顔は、あたしの事哀れんでるような顔だった。
“――告白されてるんじゃないか?”
大丈夫だって、そんなの。
「ははっ、アイツの告白現場なんて慣れっこだよ!」
そうしてあたしは体育館裏へ向かった。
「三村君っ!わたし…ずっと、1年の時から…
三村君の事が好きだったの!」
おーおー、やってる。案の定告白現場でした。
七原、あんたの勘は当たってたぞ。
どうしよう。まぁいいや、終わるまでここで見てよ。
覗き見ってのは、ちょっと気が引けるけどさ。
「うわぁ、それは嬉しいな」
そうそう、こういうヤツなんだよ信史は。
「本気で言ってるんだよ!?」
「なんで、今になって告白したの?」
「そ、それは…。今までは、恥ずかしくて、こ、告白、出来なかったけど
最近…。三村君最近、あのって子と仲良くしてるから!」
あたしかよ…。
別に仲良いって言っても、好きじゃないしあんなヤツ。
「そう?仲良いかな。
じゃあ、アイツに俺が取られちゃうって思ったんだ?」
「そ、そうよ!あの子が許せなかった!
幼馴染みってだけで、三村君と仲が良いから!!」
すると信史は、今までのニヤニヤ顔じゃなくなって、
申し訳なさそうな顔になって言った。
「ごめんね、やっぱ、君とは付き合えないや。」
「…っ!」
あぁ、信史やっぱ振るんだ。
「ホントごめんね〜」
「どうして…?」
「どうしてって言ってもな。」
ちょっと苦笑いして言った。
「あの子…?あの子がいるから?やっぱり三村君はあの子が好きなんだ?!
だからでしょっ!あの子さえいなければ!」
言いたい放題だな…。あたしは悪者かい。
「ねぇ、ちょっと黙ってくれない?
ただ俺は今誰とも付き合う気がしないだけ。
別に君の事が嫌いとか、の事がとか、そんなんじゃない。
でもさ…」
信史の瞳は、バスケやってるときくらい真剣だった。
「え…?」
「勝手にの事妬んでんじゃねぇよ。は関係ねぇだろ」
「で、でもっ」
「もし、嫉妬かなんかでに何かしたら、
本当にお前の事嫌いになるから。ね。」
最後の“ね”で、極上の笑みを見せつけてんなよ信史。
「じゃあね、ホントにごめんね〜」
「し、失礼しますっ!」
あぁ、やっと終わった。今回の子は凄かったな。
「おい、。そこにいんだろ?」
ばれてた。あたしは壁の所からひょっこり現れる。
「ばれてたんだ〜。さっすが!」
「お前、あぁゆう事言われて、平気?」
「ん?まあね。慣れてるし。てか、
別にあたしは信史の事好きじゃないんだから、どうって事無いよ」
「そっか。」
「でも、信史があんな風に言ってくれて嬉しかった。」
あたしは小さな声で言った。
「え?何言った?」
「ほら、早く帰ろ!」
そう言って、あたしは鞄を持ち歩き始める。
「おい!なんて言ったんだよ!」
「べっつに〜」
よく漫画なんかでは、幼馴染みって言うと
なにかと恋人同士になったりするけど、
実際はそんな事無いと思うんだ。
あたしの幼馴染みは優しいし、良い奴だけど、
所詮“仲のいい人”止まりなんだよ。
幼馴染みなんて、そんなもんさ。
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あとがき。
かな〜り前から、書いてた代物。やっと完成です。
しかも何か結構長くなりましたね。
後半は修羅場。告白って実際あんな感じなのかな〜。
した事ないし分かんね(そりゃそうだ
では、お読み下さってありがとうございました。
05/2/6 15:46 リョウコ