空は青くて、風は爽やかで、そんな陽気の中、
中央司令部の中はいつものように仕事が飛び交っていた。
*仕事サボって*
「何で、俺たち仕事してるんスかねー」
ぽつりと、ハボックが言った。
「おいハボック、それは言っちゃいけねえぞ」
「みんな同じことを考えて我慢してるんですから」
「しかし、今日は良い天気なのに残念ですな」
順にブレダ、フュリー、ファルマン。
「軍人は仕事するために居るんですよ、ハボック少尉」
デスクの上の書類を整理しているが言った。
彼女の机はいつも綺麗だ。
そして何故かいつも花が飾ってある。
噂によれば、毎日ロイが置いていっているらしい。
「いや、そんな真面目な答え聞いてないよ」
「そうですか」
「ただ、こんな良い天気ならどっか仕事なんてサボって遊びに行きたいよなーって」
「あぁ、確かに、ピクニックとかに良さそう!」
「だろー?」
「何の話だね?私も交ぜてくれたまえ」
いつの間にやら部屋に入ってきたロイがたちの方へ寄ってきた。
「大佐、仕事はいいんスか?」
「お前だってやっていないではないか」
「大佐ほど仕事溜まってないんスもん」
「、ハボックがあんなことを言っているのだが」
「ま、まあ、とりあえず中尉に怒られるまでは良いんじゃないですか?」
何を言っても聞かないだろうと思ったは、そう提案した。
「流石は優しいなぁ!」
ロイは満面の笑みを浮かべる。
「…あ、中尉」
ロイの後ろを指差す。
「えぇっ?!」
もう見つかってしまったのか・とロイは振り向く。
が、そこにホークアイの姿はなく。
「嘘です」
「…やっぱり優しくないな…」
「少尉はこういう日は何処行きたいですか?」
「何処ってか、ただ歩いてるだけでも良いよなぁ」
「へぇー、それも良いですねー。私は、さっきも言ったピクニックですかね」
「そしたら、弁当よろしく」
「あははー良いですよー!」
「でもさ、どっか行くとしても俺金ねぇからなぁ」
「私だって同じですよ」
「だよなー、どっかの誰かさんとは違ってな」
そう言うと、二人はロイの方に冷たい視線を送る。
「な、なんだね」
「「いやー大佐が羨ましくって」」
「になら奢ってあげるさ、喜んで」
「そ、それはどうも」
「ずりぃぞ!大佐俺も!」
「お前になんぞ誰が奢るか」
軽く拒否されたハボックに、は名案があるとでも言うように言った。
「ハボック少尉、何処行こうかって想像するだけならタダですよ!」
「じゃあ、俺は金無いけど色々考えるか…。てか、これ空しいぜ」
「でもこうやって計画立てたりするだけで楽しいですよね」
「んー、まあな」
「大佐は?」
「私はもちろんデートだな。君と」
「あーそうですか」
冷めた口調で軽く返す。
「嫌なのか?」
「別に、嫌でもないですけど…」
「じゃあ行こう!すぐ行こう!」
「仕事中ですよ。仕事無かったらって話をしているんでしょう今」
「そ、そうだな」
「あ、もしホントに二人とも仕事が休みの日があったら、どっか行っても良いですよ」
「えっ?」
「嫌なのか?」
先程のロイの口調をまねてが言う。
「嫌な訳があるか!じゃあ何処に行こうか?」
「そんなに嬉しいんですか…?」
「嬉しいさ! あぁ何処が良いだろう」
最後の方は独り言のように呟いた。
「水族館とか…?」
「それも良いなぁ。あれ?はピクニックじゃないのか?」
「水族館の方がデートっぽくないですか?」
「…!かーわーいーいー!」
今にも抱きつかんばかりのロイに必死で抵抗する。
「!あ…中尉がっ!」
「また嘘を付く」
“かちっ”
何か金属の音。
「げっ、危ないっスよ!」
「ま、まさか…」
ロイがおそるおそる振り向くとそこには、安全装置をはずした拳銃を構えながら、鬼の形相を浮かべているホークアイが居た。
「仕事サボって何をしていらっしゃるんですか、マスタング大佐?」
「い、いや、これは」
「とにかく准尉から離れて下さい」
「は、はいっ!」
ざっ・とから1メートルくらい離れる。
「ふー。助かった…。ありがとうございます中尉」
「良いのよ、」
と、ロイに見せたのとは真逆の、優しい微笑みを見せる。
「大佐っ、さっさと自分の執務室にお戻り下さい」
「わ、分かったよ中尉」
部屋を出る際、一度の方へ向いて言った。
「じゃあ、今度休みの日は水族館へ行こう、!」
「はいはい」
は苦笑しつつも見送った。
そして一旦部屋が静かになる。
「なあ、」
「はい?」
「大佐さぁ、絶対明日にでも休みにするつもりだぜ?」
「でしょうね」
「今すぐにでもデート行きたいって顔してたもんなー」
「きっと今猛スピードで仕事してるんでしょうね」
「あなたたちも、仕事しなくては駄目よ?」
「はーい、中尉」
「あ、そうだ、水族館行ったらお土産よろしく」
「オーケイ、分かりました」
空は青くて、風は爽やかで、そんな陽気の中、
中央司令部の中はいつものように仕事が飛び交っていた。
ロイ・マスタング大佐が、必死に、サボりたいのを我慢して仕事するのは、
次の日のデートのためである。
* * * * * END * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
大佐祭だというのに、なんだかハボックばかりが出張ってしまって申し訳ありません。
これでも一応ロイ夢だと言い張らせて下さい。
それでは、ここまでお読み下さりありがとうございました!!
05/5/5 13:47 リョウコ